近年、大台町では大台町商工会をはじめ、街を上げて柚子を街の名産品にしようと力を入れています。

大台町で特産品加工施設を運営する「宮川物産」は2018年11月、新しい加工工場をオープン。世間の需要が徐々に増えつつある大台町産「奥伊勢ゆず」の搾汁効率を高め、需要の増加に対応させました。



ただ、宮川物産が新工場を立ち上げた目的はそれだけではありません。

大台町は他の地域と同じように少子高齢化が進み、町外への人口流出が問題となっています。

宮川物産は町内に若者たちの就職先が少ないことを人口流出の要因のひとつと考え、地域産業の発展による町内での雇用創出に取り組もうとしているのです。新工場はそのための施設。若者のアイディアや意見を取り入れ、街や産業の活性化につなげたいと考えています。



奥伊勢ゆずブランドを広めたい


雇用を増やすには本体の体力が重要になってきます。しかし、柚子は他県でも穫れますし、奥伊勢ゆずはブランドとしては決して強くないのが正直なところ。

そこで、宮川物産は柚子の生産者80人でつくる「奥伊勢ゆず部会」を発足。奥伊勢ゆずの知名度とブランド価値の向上を図り、より力を入れていく考えです。

昨年穫れた奥伊勢ゆずは13トンにとどまるものの、町内全域を含めれば最大35〜40トンの収穫が見込めるそうです。確実に収穫すれば、柚子の生産量で国内トップ10に入れる可能性もあると言います。



新商品の「ゆずっこサイダー」を飲んでみた



こちらはまさに奥伊勢ゆずを使用した「ゆずっこサイダー」。国産の甜菜グラニュー糖を使用し、甘さは控えめ。やや小さめの飲み切りサイズで、途中で飽きずに最後までおいしく飲める炭酸飲料です。

正直、お値段は238円とよくあるサイダーと比べたらけっこうお高めですが、ちょっと贅沢したいときに飲むとちょうどいいかなと思います。

かなり製造コストがかかるようで仕方なくこのお値段なのですが、いずれはコストダウンして消費者が手に取りやすい価格になったら嬉しいなぁ!銭湯に置いてあったら試しに飲んでみたくなりそう。



新工場は見学用通路から自由に見学できる


新工場の見学は誰でも可能。柚子の果汁を搾る効率を従来よりも格段に向上させた搾汁機械がこちら。手前は搾汁を貯めるタンク。



現在は15〜20トンまでの製造に対応しており、宮川物産は将来的なさらなる増産にも意欲的です。

作業員さんはエアーシャワーを通過し、消毒液で手を洗わないと次のドアが開かない仕組み。徹底した衛生管理がなされている工場なのです。




柚子で大台町を救いたい想い


僕は3年前から三重県大台町の観光と事業者のための支援事業を行っていまして、大台町商工会のアテンドで今回は宮川物産さんを訪れました。



取材してみると、事業の拡大や街の活性化のために悩みながら試行錯誤されている様子が痛いほど伝わってきます。

大西社長さんからは、どうやって売ったらいい?ダメなポイントを挙げてくれ、と取材中に意見を求められるシーンがあり、同社の想いの強さが感じられました。

大台町の名産品である「奥伊勢ゆず」をどんどん世に送り出すことで、街の雇用創出から人口減少の問題を解決しようと歩み出した宮川物産。

ぜひ、どこかで柚子を見かけた際には「これって大台町の奥伊勢ゆずかな?」なんて気にかけてみてください!

(田村工場長)