三重県大台町で複数の事業者を取材しているなかで訪れた手づくり工房「ギャラリー奥伊勢」は主に宮川杉を使用したオリジナルの家具を手作りしている工房です。ご主人の谷藤重美さんは宮川杉にこだわると同時に、この宮川杉を守りたいという強い想いを持っています。

国土交通省から11年連続で水質が日本一きれいと認定された宮川はここ大台町の大杉谷を源流とし、町の大きなシンボルでもあります。ですが、そんな宮川流域で育った宮川杉は下流に位置するあの伊勢神宮の建築資材として使用されていることはあまり知られていません。伊勢神宮につながる宮川の杉ですから、宮川杉はとても縁起の良い杉なんです。

今回、お話を伺った谷藤さんからは宮川杉の魅力と大台町が抱える問題について知ることができました。




移住してきて「ギャラリー奥伊勢」を開業


もともとは大阪の会社で物流関係のプログラマーだったという谷藤さん。でも、このまま人生を終えたくない、何かものづくりをして過ごしたい、と考えていたんだそうです。作品に使う素材を木に決めてから三重県大台町へ移住することを決意。宮川杉や奥伊勢ひのきといった地域材を使い、イスやテーブルなどを製作。その良さに惚れた人々からの注文が相次ぎ、今では2ヵ月先まで注文が入っているんだとか。



「ギャラリー奥伊勢」はあの熊野古道沿いにある築140年ほどの古民家を購入。改築してギャラリー兼カフェにしたものの、中は非常に趣きのある造りで歴史が感じられます。



隣に立てた小屋が工房になっていて、1日に6時間ほどはこの小屋で木工作業。2001年に移住してから数々の作品を生み出してきた場所です。



谷藤さんは客からの注文時に木の指定があればその木で作りますが、基本的には宮川杉に大きなこだわりを持っています。



宮川杉の良さと谷藤さんのこだわり


杉は柔らかくて傷が付きやすいため、普通の家具屋さんは杉を使うことを避ける傾向にありますが、谷藤さんは「杉は柔らかくて傷つくからこそ良いんだ」と言います。

谷藤さんの好みの木は日当たりが悪く密集してるところで育った木。板の木目を見ただけで「こいつ苦労してるな〜」とわかるそうで、そんな苦労モノがたまらないんだそう。製材した木材ではなく、木が持っているそのものの形を生かした作品が多いです。



大台町には日本一の清流である宮川の流域で育った宮川杉や奥伊勢ひのきが揃うので、杉とひのきを組み合わせた家具も得意としています。でも、やっぱり宮川杉が一番。温かさや柔らかさをとても評価していて、例えば宮川杉のイスに座ると体温に反応し、座ったらすぐに温かくなる。僕は実際に座ってみましたが、明らかにひのきのイスよりも宮川杉のイスの方が温かかった!



ちなみにこちらのイスのお値段ですが、すべてを宮川杉で作ったイスは12,000円。奥伊勢ひのきのイスは8,500円くらいです。意外とリーズナブルですよね!


(左のイスは座面が奥伊勢ひのき、右は宮川杉)



宮川杉を残していくために協力を惜しまない


そんな谷藤さんが惚れ込む宮川杉ですが、大台町での林業が衰退していることを背景に宮川杉には危機が訪れています。林業を営む人の高齢化が進み、宮川杉の伐採量が減ってきているんです。

イスの足の材料として使えるようになるまでにかかる宮川杉の育成年数は6年。育成本数が減ってしまうと将来的にイスを作れなくなる可能性があります。



宮川杉を使って何かしたいと本気で思う人が現れたら自分の持つノウハウをすべて教える、と谷藤さんは言っています。それが大台町の宮川杉を守ることになり、町の発展につながると信じているからです。

日本独特の高温多湿な環境への対応と住宅強度の両方をカバーできる「直交集成材」を宮川杉で作ることを推進し、これを使って新たな産業を興すことで雇用を生み、大台町の定住者を増やす。谷藤さんはここまで考えていて、手を挙げる者がいるのなら積極的に協力したいと。




見えてきた課題と想い


実は僕がこの3日間で大台町の旅館や地域の事業者を何軒か取材をしてきて耳にしたのは町への不満ばかり。確かに、町の役場や商工会がやらなきゃいけないことは多いと思います。しかし、自分たちでできることだってあるはず。同業者とどんどん協力したり、相談したりすればいいのに、それをやっていない事業者が多いように感じました。これはこの町の課題の1つだと思います。

今回、「ギャラリー奥伊勢」でお話を伺ったなかで、大台町への移住組である谷藤さんが町や木を守りたいと考えるようになったことがとても興味深かったです。後継者の育成やノウハウの提供に協力的ですし、問題の解決へ向けた積極的な姿勢が素晴らしい。72歳という年齢にもかかわらず若者に負けないパワーを感じました。



なんと、最近ではハンドメイド製品のオンライン販売サイト「Creema」へも出店!ほんと、ものすごくアクティブですし、僕も見習いたいと思いました!


手づくり工房「ギャラリー奥伊勢」は店内でゆっくりコーヒー(300円)をいただくこともでき、薪暖炉の暖かさを感じながらおしゃれな雰囲気のなかで飲むコーヒーも良いのではないでしょうか!


手づくり工房「ギャラリー奥伊勢」
営業時間:10時〜17時
定休日:月曜日
住所:三重県多気郡大台町高奈 1064(地図
Webサイト:手づくり工房 ギャラリー奥伊勢
ギャラリーサイト:ギャラリー奥伊勢
Facebookページ:手づくり工房 ギャラリー奥伊勢


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